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最終修正日:2000年6月25日

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かくして一人旅

 同僚のミセス・モンプチと別れ、一人ロンドンからベルリンへと旅立つことになった(ロンドン編も読んでね)。国内外を問わず一人旅は初めてなのだ。初めての一人旅が外国旅行って、私って無謀?

 ホテルからヒースロー空港へタクシーで向かう。ヒースロー空港はターミナルが幾つかあるので、間違えるととんでもないことになる。私が行かなきゃいけないのはターミナルCだ。ベルリンへはルフト・ハンザで行くことになっている。ルフト・ハンザか、こりゃ墜落の心配はしなくていいな...、密かに考えた。

 カウンターはかなり広いので、すぐ見つかってチェックイン。早めに来たのに、チェックイン・カウンターには長蛇の列だ。列に並んでいると、前の人が

 「この荷物は自分で詰めましたか?」

とか

 「詰めてからずっと自分の側に置いておきましたか?」

とか聞かれている。おおっ! なんか、すごい。今までそんなこと聞かれたことないなぁ、とチェックの厳しさに感心してしまった。

 ところでイギリスに来て以来、私の機内持ち込み用バッグは必ずエックス線チェックに引っかかっていた。怪しげなものが入っているわけではないのに、なぜ!?



ベルリンという街

 統一後のベルリンを訪れたいというのがここ数年来の夢だった。実は1989年の夏に一度来たことがあるのだ。1989年という年は「ベルリンの壁」が崩壊した年でもある。その時点では壁は完全な姿を誇っていたので、現在の姿を見てみたかった。

 ベルリンのテーゲル空港におりたち、まずは両替。先立つ物がなくちゃね。土・日が入るので、少し多めに3万円を替えることにする。

 次にするのはホテルを斡旋してもらうこと。テーゲル空港はどういう構造になっているのかよくわからないが(円形?)、入国した場所から両替所とインフォメーション・カウンター(以下(i)と略す)のある場所までかなり歩かなければならない。重いスーツ・ケースをガラガラと引きながら歩き回るのは大変だ。

 (i)でホテルを紹介してもらった後、路線バスで市内に入った。ドイツに詳しい友人に、ベルリンは昔より危なくなっているので気をつけるよう言われていた。

 バスの車窓から眺めた空は、カラリと晴れている。天気の悪いイギリスから来ただけに、青空が常より美しく見える。イギリスというのは一日中晴れているということがない国なのだ。ふと89年のベルリンを振り返ってみるとグレーの空しか思い出せない。天気が悪かったわけではない。悪かったのは「空気」なのだ。

 西ベルリンと東ベルリン。当時は違う国だ。そうは言っても陸が離れているわけではないので、東ベルリンの排ガスぼーぼーの車は、ベルリン全体に悪影響を及ぼしていた。空気がグレーに染まっていた。

 あれから数年、統一で性能の悪い車が駆逐されただけで、これほど空気がきれいになろうとは! 不思議なことに空気がきれいだと街がきれいに見え、そのせいか治安まで良くなったように見えてしまう。昔のベルリンはすさんだような空気がした。「前より危なくなっている」という警戒心は吹き飛んでしまった。



急がば回れ

 ホテルにチェックインするとき「静かな部屋にして」と頼んだら、receptionの人が部屋まで案内してくれて、「うちは全ての客室が中庭に面しているので静かだよ」と言った。うーむ。確かに静かだ。窓を開けると、中庭からはチュンチュンという鳥のさえずりが聞こえる。これで静かな夜は確保された。

 なぜ静かな部屋にこだわったかというと、このホテルがクーダムという大通りに面していたためちょっと不安になったからだ。クーダムはベルリンのメイン・ストリートで、この通り沿いはいろいろなブランド物の店が軒を連ねている。

 静かな部屋は確保されたが、バスじゃなくてシャワーだ。バス付きで予約したにもかかわらず、シャワーしかないことがよくある。ヨーロッパではシャワーかバスかの違いは重要ではないようだ。シャワーonlyが嫌だったら「with bath」ではなく「with bathtub」と言わなければならないのかもしれない。

 その部屋はシャワーであること以外はすべて気に入った。きれい、静か、広い、地の利は良い、安い(朝食付きで1泊約8000円程度)。備品も必要な物はそろっている。シャワーに関しては妥協することにした。

 ひと休みしてから情報を仕入れにヨーロッパ・センターに向かう。この中にツーリスト・インフォメーションがあるのだ。ベルリン市内の他にサンスーシー宮殿を見に行きたかったので、ツアーの情報を検討する。サンスーシーは1日必要だと思っていたが、どうやら半日観光で済みそうだ。

 私は頭の中で明日の予定を組み換えた。午前中にベルガモン博物館に行って、午後にツアーでサンスーシー行きとしよう。ベルリンでは4泊するので時間はたっぷりあるというものの、博物館や城は休館日が異なるので見る順番を考えなければならない。

 さっそくあちこち見て歩きたかったが、(i)で集めてきた資料をホテルでじっくり検討する。どういうルートを、どういうタイム・テーブルで回るかは重要だ。本当だったら見られたものが、回り方が悪くて見られないことほど悔しいことはない。(これに関しては前科のあるうーさんS



これは便利100番バス

 ベルリンに3日滞在するなら「Berlin Welcome Card」がお得である。72時間有効で、公共の交通機関(バス、S-Bahn、U-Bahn)が乗り降り自由、一部の美術館等の割引、一部の観光ツアーの割引といった特典がある。最初に乗った乗り物で日付/時刻を刻印して使い始める。

 ベルリンが全く初めての人は、2−3時間程度の市内観光バス(8カ国語のガイドあり)に乗ってもいいが、自分の足で見てまわりたいという人には100番のルートバスが便利である。市内の主要な観光スポットはほとんど網羅している。本数も非常に多い。2階建てバスなので見晴らしも楽しめる、という良いことづくめのバスである。

---------- [ここで注意!!] ----------

 ドイツの駅は日本と違って「切符がないと絶対電車に乗れない」という構造にはなっていない。バスも同様である。だからといって悪いことは考えない方がよい。私服の検札係の人が、いきなり身分証をつきつけて切符を持っているかチェックをするのだ。切符を持っていないと、結構大変なことになるようである。

 私は89年にドイツに行ったときも、今回の旅でも、この検札に出会った。きっとひんぱんに見回っているのであろう。ちなみに、いまだこのチェックで摘発された人を見たことがないのだが、ドイツ人の何割が正規の運賃をきちんと払っているのか知りたいものである。

 検札係を見やぶるのも難しい。今回の人は、迷彩服を着てサングラスをかけた「いかれた兄ちゃん」にしか見えなかった。(その人は、同じバス停から乗車したのだが、あまり近くに寄らないようにしよう、と考えたくらいなのだから。)



ペルガモン博物館のすすめ

 東ベルリンには博物館の島と呼ばれる一帯があって、文字どおり幾つかの博物館が群をなしている場所がある。その中にあるペルガモン博物館はなかなか見応えのあるところである。

 チケットを買って中に入ると、まずイヤホン・ガイドがあるのでそれを借りよう(イヤホン代は入場料に含まれている)。以前来たときには、こんなサービスはなかったのであるが、日本語のガイドまで用意されているとは「さすが資本主義!」と感心してしまった。聞きたい展示物の番号を入力すると、解説が聞ける。

 足を踏み入れるとペルガモン神殿のゼウスの祭壇がでーんとそびえている。発見当時の規模で復元されているそうである。とても大きい。これだけでも一見の価値がある。他にも見所がたくさんあって書くときりがないのだが、半日いても飽きないところであると保証できる「うーさんお気に入りの場所」である。



サンスーシー&ポツダムへのツアー

 サンスーシーはフリードリッヒII世が建てた夏の離宮である。場所はポツダムにある。ベルリンからはS-Bahnで50分、そこから更に路面電車に乗らなければならないようだ。

 私はガイドブックに「宮殿内の見学はツアー・グループを優先するので便利」と書いてあったため、ツアーで行くことにした。ツェツィリエンホーフ(ポツダム会談が開かれた場所)にも行くツアーがあるはずなのだが、(i)では見つけられなかった。

 ツアーは所要時間約4時間、59DMである(1997年5月)。城の他にもポツダム市内をバスで走りながらのガイドがある。KGB村という、今はすたれた村を通った。読んで字のごとくKGBのスパイ達とその家族が住んでいた場所である。ポツダムには無実の罪で姿を消した人がたくさんいるという町もある(つまりスパイの犠牲になったんですな)。

 さて、宮殿である。着くとさっそく宮殿内の見学だ。入り口にはフリーで来た観光客が待っていた。ドイツは場内の見学はガイド付きでないとだめという場所が多い。そういう所に個人で見に行くと、ある程度の人数が集まるまでかなり待たなければならないということもある。

 中は、「すごいよ。見に行ってね!」とだけ言っておこう。ここは宮殿が一つポンとあるだけではなくて、広い敷地に幾つもの離宮や美術館、博物館がある。ツアーで行くとゆっくりは見れ回れないのが残念だ。

 くだんのツェツィリエンホーフの側をバスで走り(大きいコテージという感じの建物だった)、市内観光は終わった。(帰りは寝て帰ろう!)


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